石場立ての基礎ができた

このところ雨が多くて心配していたけど、今日、現場を覗いてみたら、基礎が出来上がっていた。地中梁の上にベタ基礎状にコンクリートを打設してあり、一見するとただの平らなタタキのようだ。

 

石場立てにこだわったが故に建築確認で苦労した身なので、その象徴でもある基礎が出来上がった姿を見ると、感慨もひとしお。家づくりはまだこれから1年以上掛かるのだけど、これまでのことを考えると、あらかた出来上がったような気さえする。

 

石場立てだから、土台をのせる立ち上がりは、ない。代わりに、柱がのる御影石のブロックが埋め込んであり、基礎の外周をぐるっと一周している。足元に風を遮るものがないので、湿気がこもることはないだろう。冬は寒いかもしれない。床下に入れる断熱材は足りるかなぁ。

 

基礎と柱は緊結せず、フリーにする。建物は基礎の上にのっかるだけ。大きな地震が来たときには、柱がずれることで揺れを逃がす免震構造なのだ。人間の場合でも、足首を掴まれた状態で体を揺すられると倒れてしまうが、足元が自由ならば、足を踏み出して転倒を防ぐことができる。それと同じだ。自然な考え方だと思う。ずれてしまった建物は、後で曳屋で元に戻してもらう。倒れてしまうよりもよっぽどいい。

 

ところが、建築基準法では基礎と建物を緊結するよう定めてあり、建物は地震のエネルギーを全部受け止めなければならなくなる。だからその分、筋交いや接合金具などで建物を固めて、倒壊を防ぐという思想なのだ。

 

でもそういうやり方だと、限界を超えたときにバッタリ倒れてしまう。大地震の度に建築基準法が改正されてきたのは、そうした問題があったからだ。自然の力には抗わず受け流してしまうという伝統構法・石場立ては、地震国である我が国ならではの知恵だと思う。

 

我が家の場合、内側の柱は御影石ブロックを用いず、コンクリート基礎に直接のるように設計してある。そうすればコストダウンできるし、地震で柱がずれた場合でも、大半の柱は平らなコンクリート基礎の上でずれるだけで、御影石ブロックからずり落ちずに済むので、建物のダメージが少なくなると考えたのだ。

 

もしもの場合に、考えた通りに機能するのかどうかは、分からない。いずれにしても、大地震が来ないにこしたことないけど。