野地板貼り

天気はくもり。今日の作業は野地板(屋根の下地の板)の貼り込み。山口棟梁一人での作業だ。差し入れがてら、しばらく眺めていた。

 

まず、軒の出の長さを最終調整するため、垂木(屋根の下地を構成する角材)の端を切り揃える。現場で改めて墨を出し、1本1本切り揃えていくと、垂木の先がピシッと揃う。切り落とした断面は4辺をカンナで面取りする。丁寧な仕事だなぁ。何十本もあるから大変だ。

 

次に、垂木に野地板を貼る前に、垂木の表面の高さを揃える。1mほどの角材を定規代わりにして垂木の上をまたいで横向きに渡す。隣り合う垂木の高さが揃わずに角材がカタカタいう部分があると、その垂木にカンナを掛けて厚みを減らし、高さを揃える。その作業を繰り返す。プレカット材でどんどん組んでしまう建て方とは違い、現場合わせの仕事は手間と時間が掛かるのだ。

 

次に、軒先の端の部分に広小舞という厚みのある板をビス留めする。垂木と重なる部分に2本ずつ、角度を変えて交差状にビスを打つ。そうすることで、しっかり固定できるのだろう。いろいろなところに気を遣っているのだなぁ。

 

ここまでやって、ようやく野路板の出番。軒先側から順に、下から1枚ずつ垂木に釘で打ち付けていく。材はスギの無垢材。板同士の合わせ目が互い違いにかみ合うように、相ざね加工がしてある。屋根を覆うためには相当な枚数が必要なので、これもまた大変だ。

 

そんなこんなで作業を眺めていたら、近くの別の現場で作業しているご年配の大工さんがやってきて、ひとしきり話し込んでいった。

 

「こうやって木組みで建てるのが一番いいんだよ」

「足元もこれ(石場立て)がいいんだ。金具で留めるより強いよ」

「いい趣味してるね。人工も相当かかってるなぁ」

「俺もこういう仕事をしたいんだけどね。先立つものがないとね」

 

プロの方にこう言ってもらえると嬉しいなぁ。

 

今日は1階の屋根の野地板を数枚貼ってから、貫を締める楔を仮留め。屋根はまだまだ広いので、野地板を貼り終えるのには結構かかりそうだ。